公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言は以下手順で作成します

公正遺言手順

 

 

 

 

 

 

1)公正証書遺言の目的/内容の検討

何のために遺言するのか、誰のために遺言するのかを改めて整理します。
その上で分割方法や相続分を具体的に検討します。
また、親族間での紛争(争族)を未然に防止し、円滑な相続を実現するために、推定相続人各人に対して配慮があり、納得感が得られるような遺言を検討する必要があります。

①遺言をするにいたった動機や心情の整理・明確化(付言事項)

なぜ遺言をするのか、推定相続人や受遺者への希望などを書き記すことは法律的には意味がありません。
しかし、遺言の趣旨を明確にすることや残された人々に遺言者の希望を伝えることは、各相続人の納得感を得る上で重要ですので、遺言書の付言事項として残すべきメッセージとして整理しておきましょう。

②「誰に、何を相続(遺贈)させる」といった具体的な内容の検討

家族関係の相関図や所有財産の一覧表をつくり、分割方法や相続分を検討します。
また、相続人が遺言者より先に死亡した場合なども想定し、予備的な事項も検討しておくことも大切です。

③分割方法は必ず遺留分に配慮する

遺留分を侵害する遺言の作成も認められています。その場合は、その理由を付言事項として明確化しておくことも必要です。
しかし、実務上は相続分がまったくない人がいないようにすることが円満な相続とつながります。
分割方法や相続分の検討にあたっては、常に遺留分に配慮されることをお勧めします。

④遺言執行者の指定

遺言執行者とは、遺言者の死亡後、遺言に記載されている内容を実現する人のことです。
遺言執行者を指定することで、相続人の相続手続きに関する負担を軽減できるとともに、相続手続きで問題が起こる危険性が少なくなります。

2)必要資料の収集

公正証書遺言を作成するにあたって、以下の資料を収集し、公証役場(公証センター)に提示、提出する必要があります。

①印鑑証明書

発行後3ヶ月以内のもの。

②戸籍謄本・除籍謄本

遺言者と相続人の関係が証明できる範囲。除籍されていてもさしつかえありません。
※相続人以外の人に遺贈する際は、その人の住民票も必要です。

③固定資産評価台帳(または名寄帳写し)

最新年度のもの。

④不動産登記簿謄本

すべての土地・建物について収集します。

⑤預貯金情報

銀行等金融機関名、支店名、所在地、残高を書き写すなど整理します。株式、国債なども同様です。
なお、対象財産を遺言書に記載しても自由に引出や処分が可能です。
※申請にあたっては通帳などのコピーが必要となる場合があります。

⑥証人2名/遺言執行者の住民票

公正証書遺言作成のときに立ち会ってもらう証人2名の住所、氏名、生年月日、職業をメモします。なお、住所・氏名については住民票を取り寄せてもらい、正確な記述を確認してください。証人となれない方もいますので注意する必要があります。
遺言執行者を選定した場合も証人同様の情報や住民票が必要となります。。

3)遺言原案の作成

①書式

遺言書の原案を作成する上で、特に体裁や表現を気にする必要はありません。

②対象財産の正確な記述

遺言目的の一つである分割方法を指定するにあたっては、対象となる財産が明確に特定できるよう正確に記述する必要があります。例えば、対象となる財産が不動産であれば登記簿謄本に記載された所在、地番、地目、地積を正確に書き写し、該当不動産を確実に特定できるようにする必要があります。

③特定された相続財産以外の取り扱い

遺言で特定された相続財産以外の財産が判明した場合、その財産を巡り相続人間で遺産分割協議を実施する必要が出てきます。したがって、特定された相続財産以外の取り扱いについても相続分を指定して置くことが、相続人の負担軽減や争いの防止といった観点から有効です。
また、遺言者の使用していた家財道具や日用品など財産的な価値の低いものについても、相続人を指定することで形見分けや処分など整理が円滑に行えます。

④祭祀(さいし)主宰すべき者

墓地や仏壇を相続し、供養などを行う人を「祭祀を主宰すべき者」と呼びます。これも誰に任せるかを明記します。

⑤葬儀・埋葬に関する要望

葬儀・埋葬に関する事項は法的な拘束力はありませんが、通常、尊重されます。
ただし、葬儀が終わった後に遺言が確認されるケースが多いことから、生前に葬儀・埋葬に関する要望をご家族にしておくか、エンディングノートとして残されることをお勧めします。

⑥付言

先に記述しましたが、遺言の趣旨を明確にすることや遺言者の希望を伝えることは、各相続人の納得感を得る上で重要です。遺言の最後にわかり易く、簡潔に付言として記述します。

4)事前打ち合わせ

①日程予約

事前に公証役場へ電話をして、日時を予約します。

②遺言内容・資料確認

公証人に提出資料を確認してもらうとともに、公証人と遺言上の表現方法や遺言内容などについて検討をします。
なお、遺言内容の原稿と資料は公証人へ預けることになりますので、必要な書類については事前にコピーしておくことをお勧めします。

③公正証書遺言作成日の決定

公証人と表現方法などについて検討後、公正証書の作成日を決めます。
証人2名も同席しなければなりませんので、証人のスケジュールも併せて確認されることをお勧めします。

④手数料確認

後日、公証人への手数料を確認します。また、必要な謄本の通数も連絡しておきます。

5)公正証書遺言作成当日

①持参品

遺言者本人:実印、手数料、謝礼
証人:認印

②手数料

公正証書遺言の作成後は、公正証書正本・謄本および資料を受け取り、手数料(現金)を支払います。
また、証人にも謝礼を支払います。

③公正証書遺言の再確認

公証役場(公証センター)での作成作業の際に、作成された公正証書遺言の確認作業を公証人・証人を交えて実施しますが、公正証書の受領後、すみやかに〔当日中に、場所を変えて〕再確認することとお勧めします。

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takezo
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