第2章 相続分はどの位?
1)法定相続分
相続人の相続分も、被相続人の意思によって決められます。(通常は遺言にて指定されます。)
被相続人の指定が無い時は、民法に規定された相続分(法定相続分)によって定まります。
相続人 | 法定相続分 |
第1順位相続人 + 配偶者 | 配偶者=2分の1 第1順位相続人(子)=2分の1 ※第1順位相続人が複数いる場合、平等に頭割り |
第2順位相続人 + 配偶者 | 配偶者=3分の2 第2順位相続人(被相続人の直系の父母)=3分の1 ※第2順位相続人が複数いる場合、平等に頭割り |
第3順位相続人 + 配偶者 | 配偶者=4分の3 第3順位相続人(被相続人の兄弟姉妹)=4分の1 ※第3順位相続人が複数いる場合、平等に頭割り |
2)特別受益者の相続分
相続人のうちで、被相続人から生前に贈与を受け、または遺贈を受けた者を特別受益者といいます。
特別受益者がいる場合、公平の見地から、全体の相続財産に特別受益分を加算して、ここから各自の相続分を計算します。
なお、特別受益者については既に受けている額を差し引いた額が相続分となります。
例えば、長男と長女を持つ父が相続財産として6000万円を遺して亡くなったとします。そして、生前、父は長男だけに2000万円相当の土地を贈与していたケースを考えてみましょう。
この場合、相続分の算出にあたっては、長男が生前に贈与を受けた2000万円相当の財産を、いったん相続財産に持ち戻して計算をすることになります。
すなわち、6000万円〔相続財産〕と2000万円〔相続人である長男が生前贈与を受けた財産〕の合計である8000万円を基準にして、相続人である長男と長女の相続分を考えることになります。
この事例では、特別受益の主張がなされた場合、長男と長女の相続分は各4000万円(8000万円×1/2)となり、長女は、4000万円を相続することができます。
長男は、いわば自らの相続分中2000万円を先渡しで被相続人から受け取っていたと考えますので、被相続人が亡くなった時に相続できるのは2000万円だけになります。
3)寄与分
特別受益者とは逆に、相続人の中に被相続人の財産形成に特別に寄与した者がいる時は、本来の相続分を超える額の取得を相続人間の協議にて決定することができます。
このことを寄与分といいます。
4)遺留分
遺留分とは、一定の法定相続人に保障される相続財産の一定割合のことです。
被相続人には、遺言により自己の財産を処分する自由が認められています。
もっとも、被相続人の財産処分の自由を完全に認めると、被相続人の財産に依拠して生活している配偶者や子といった相続人の生活が相続を契機に破綻してしまうかもしれません。
そこで、民法は法定相続人中、兄弟姉妹を除く相続人に相続財産の承継を保障しました。 この最低限の相続分のことを遺留分といいます。
相続人 | 遺留分 |
子と配偶者が相続人のケース | 配偶者=4分の1 子 =4分の1 |
父母と配偶者が相続人のケース | 配偶者=3分の1 父母 =6分の1 |
兄弟姉妹と配偶者が相続人のケース | 配偶者=2分1 ※兄弟姉妹には遺留分はない |
配偶者のみが相続人のケース | 配偶者=2分の1 |
子のみが相続人のケース | 子 =2分の1 |
直系尊属のみが相続人 | 直系尊属=3分1 |
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