相続手続きと戸籍

1)戸籍とは

個人の家族的身分関係を明確にするため、夫婦と同居するその未婚の子を単位として、氏名・生年月日・続柄などを記載し公証する公文書(Weblioより)、をいいます。したがって、同じ戸籍に夫婦が複数いることもなく、子が結婚した場合には必ず別の戸籍が編成されることになっています。

2)戸籍の筆頭者

戸籍の筆頭者とは戸籍の最初に記載された人の氏名をいい、たとえば、結婚によって新たに戸籍が作られる場合には、婚姻後どちらの氏を称するかによって筆頭者が決まります。(夫の氏を称した場合は夫が筆頭者、妻の氏を称した場合は妻が筆頭者となります)
筆頭者の氏名は戸籍の見出しになるもので、筆頭者が死亡などで除籍になってもその戸籍の筆頭者は変わりません。

3)戸籍個人事項証明書/戸籍全部事項証明書

戸籍全部事項証明書とは、戸籍をコンピュータ化した自治体が発行する証明書で、従前の紙戸籍で発行していた戸籍謄本と同じものです。
戸籍個人事項証明書とは、戸籍全部事項証明書と同様、従前の紙戸籍で発行していた戸籍抄本をさします。
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は、戸籍に記載されている全員分の証明であり、戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)とは、戸籍に記載されている人のうち一部を証明するものです。

なお、戸籍全部事項証明書は戸籍謄本、戸籍個人事項証明書は戸籍抄本と今も呼ばれることがあります。

4)除籍とは

現在どなたも使用されていない戸籍を除籍と呼び、以下のような戸籍のことです。
(1)婚姻、死亡等でその戸籍の在籍者が全て除籍になった戸籍。
(2)転籍をした戸籍。

したがって、先に記述したように、筆頭者や戸籍に記載された人が亡くなっても、同じ戸籍で他の人が使用されている場合には除籍ではなく、戸籍になります。

5)改製原戸籍とは

改製原戸籍とは、法改正などで戸籍の制度が変わり、それにともなって戸籍が新たに書き変えられたために使用されなくなった古い戸籍のことです。
明治5年に戸籍法が施行されて以来、現在までに5回(戸籍をコンピュータ化していない市区町村では4回)戸籍簿の様式変更がされ、その当時有効だった戸籍は新様式への書き替え作業が行われています。
以下に平成改製原戸籍と昭和改製原戸籍の概要を記述します。

なお、改製原戸籍の正式な読み方は「かいせいげんこせき」ですが、実務上は「かいせいはらこせき」や「はらこせき」と呼ばれることもあります。

①平成改製原戸籍

もっとも最近の改製は、平成6年の法務省令により行われた改製です。
この改製によって、戸籍をコンピュータで管理することが認められ、これまで紙戸籍にタイプライターで記載するという方法から、コンピュータで処理する方法へと変わり、コンピューター化が行われた際のもととなった紙の戸籍を改製原戸籍と呼ばれています。
他の改製原戸籍と区別して平成改製原戸籍(平成の原戸籍)などとも呼ばれています。

②昭和改製原戸籍

昭和22年に民法が改正され「家制度」が廃止されました。それに伴い戸籍法も改正され、昭和23年1月1日から現行戸籍法が施行されました。
これにより、旧制度での戸主を中心とする家単位の戸籍(祖父母、兄弟姉妹、叔父叔母も記載されていました)から、夫婦及び氏を同じくする子単位の戸籍に変更する必要がありましたが、その実施は新法施行の10年後に延期され、新法施行後10年間は、旧法戸籍は新法の規定による戸籍とみなされることになりました。
そして、10年を経過した昭和33年4月1日より、「昭和32年法務省令27号」に基づいて旧法戸籍の改製作業が行われています。
この時の改製原戸籍を昭和改製原戸籍(昭和の原戸籍)などと呼ぶことがあります。

6)なぜ相続には改製原戸籍が必要なのか?

戸籍が新しい様式に書き変えられただけなのに、何故、相続手続きでは、わざわざ改製原戸籍謄本を取らなくてはならないのでしょうか?
実は、改製される前の古い戸籍に書かれていた内容が、改製された後の新しい戸籍に完全に書き移されるわけではなく、改製前に死亡や結婚などで除籍された人の記載、離婚、養子離縁など関する事項などは、改製された後の戸籍に記載されません。
そのため、改製された後の新しい戸籍を取っただけでは、相続関係が判断できないため、必ず改製原戸籍謄本を取得して、相続人に漏れがないか確認する必要があるのです。
除籍や転籍により戸籍や原戸籍を管理する市町村役場が多岐に渡るときなど、相続人にとって大変負担となる作業で、時として2~3ヶ月もの期間を要することがあります。
少しばかり宣伝ですが、このような事務負担を軽減することも当事務所の仕事なのです。
どうぞ、おまかせください!!

 

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takezo
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